こんにちは、nyamoです。
突然ですが、スポーツを頑張るあなたに質問です。
オリンピックアスリートが自分の競技パフォーマンスについて言語化した書籍があったら読んでみたくないですか?
僕は最近そんな会心の書籍に出会いました。
それがこちら↓
とても良い内容だったので紹介したいと思います。
ウイニング・アローンはどんな本?
まず読み終えた感想を一言で述べますと、
「スポーツを追求している方には、是非読んでもらいたい!」
そう思いました。
「ウイニング・アローン」では、元オリンピック選手である為末さんが幼少〜現役引退までの人生経験を追って、競技パフォーマンスについて綴っています。
よくオリンピック選手が引退後に自身の経験を文章化して、書籍化することがあります。
しかし、パフォーマンスを主題として書かれている書籍はとても少ないのです。
その点で、「ウイニング・アローン」は貴重な一冊であると言えます。
パフォーマンスを主題とした書籍をオリンピック選手のコーチが書くこともありますが、そのコーチは選手を幼少期から見ているわけではありません。
幼少期の家庭環境、性格や考え方の形成、経験してきたスポーツ、小学校~大学までの練習内容など、すべてを把握しているのは自分1人です。
1人の選手が自身の人生を振り返り、いろいろな経験が競技パフォーマンスにどのように影響したのか。
「ウイニング・アローン」の内容はそんなことが赤裸々に綴られています。
ウイニング・アローンの具体的な内容
ウイニング・アローンは大きく4つの章に分かれています。
①「わたし」を形づくるもの
②「わたし」の心をつくるもの
③「わたし」の身体をつくるもの
④「勝利」をもたらすもの
この書籍の魅力を伝えるために、それぞれの章から一部を抜粋して内容を
紹介したいと思います。
PARTⅠ「わたし」を形づくるもの
第一章では為末さんの親、指導者、所属団体、ライバル、人脈などについて書かれています。
その中で所属団体について書かれた部分を一部紹介します。
視座が高い集団は、「当たり前」のレベルが高い。
目標が勇ましかったり、ビジョンが美しかったりするとつい人は惹かれてしまうが、目標の高さよりも言葉にされていない「当たり前のレベル」の方がよほど競技力に影響していた。
たとえば「足腰」ではなく「大腿四頭筋」「ハムストリングス」「中臀筋」などと分けて会話する集団では、これらの役割を使い分けて説明することが当たり前になっている。
その結果、細かい筋の働きや役割を次第に理解するようになる。
ウイニング・アローン 自己理解のパフォーマンス論
人間は環境に左右される生き物なので、当たり前のレベルが高い集団でプレーしていれば、おのずと自分の競技力も底上げされるという内容です。
為末さんは本項で、一度は質の高い本物の集団を見ておいたほうが良いと語っています。
PARTⅡ「わたし」の心をつくるもの
第2章ではメンタルに関する経験がまとめられています。
技術について考えすぎることによって起きるスランプ、競技力の停滞、負け癖、嫉妬などについての内容です。
その中で「停滞」についての考え方が参考になったので紹介します。
乱暴に分ければ、選手やチームの状態は混沌と秩序に分けられる。
競技を始めるときやチームを組み始めるときは、混沌の状態から始まる。
ハードルを飛ぶにしてもどこに力をいれたらいいか、トレーニングをどう計画したらいいか、コーチとどうコミュニケーションをとっていいか、何がポイントかがことごとくわからない。
そこから少しずつ学んでいき、徐々に技能が熟達していく。
技能が熟達するとそこには経験と予測が生まれ、秩序が生まれる。
いま何をしているのか、次に何が起こるのか、何を計画すればいいのかがわかるようになる。
そして多くのことが想像の範囲内で行われるようになる。
基本的には混沌から秩序の状態に向かうことがパフォーマンスを高めるうえでは良いこととされる。
中略
個人レベルでできることは、とにかく違うコミュニティに触れておき、自分を落ち着かせないようにすること、そして定期的に距離をとり、習慣から離れてみることだろう。
また、停滞は静かに進行するもので、はっきりと停滞したなと感じる頃には停滞はかなり進んでいる。
ウイニング・アローン 自己理解のパフォーマンス論
混沌・秩序という為末さんの表現がとてもしっくりきました。
僕は現在クライミングに10年程傾倒していますが、やはり環境が変わる節目や新しい挑戦をしたときは競技力が伸びたと感じます。
そして、この考え方はスポーツだけではなく、仕事のスキルアップなどにも応用できると思いました。
PRATⅢ「わたし」の身体をつくるもの
この章は練習時間、休み方、食事、体幹、怪我、体力トレーニングなど、競技者であれば深く知りたい内容が詰まっています。
その中でも体幹に関する記述が面白かったので紹介します。
体幹と呼んでいるものの具体的な位置はじつははっきりしていない。
少なくともスポーツの現場ではトップ選手でも具体的な場所を把握していなかった。
私がイメージしていたのは、腸腰筋、脊柱起立筋下部、腹直筋下、内・外腹斜筋、腰方形筋あたりだった。
人によっては棒をイメージする人もいるが、私はボールのような形状をイメージしていた。
おへその下あたりで体の真ん中あたりがその位置だ。
ウイニング・アローン 自己理解のパフォーマンス論
この体幹のイメージに加え筋力トレーニングについての項でこのようにも述べています。
それ以外には腹筋背筋にかなりの時間を割いた。
腹筋は腹直筋を攻めたくなるが、私の感覚では、腸腰筋群、外腹斜筋など体幹を固定するような筋肉の方が重要だ。
大事な筋肉は内側にある。
自分の胴体を帯のように巻いているあたりの筋肉を強くしなやかに固定するイメージだった。
ウイニング・アローン 自己理解のパフォーマンス論
この項を読んだとき何か頭の中で繋がるものがありました。
僕はクライミングで外腹斜筋を肉離れしたことがあり、この筋肉の重要性を実感したことがあります。
あくまで僕個人の考察ですが、外腹斜筋は骨盤を引き上げる作用があり、腕の動きと連動して働いています。
そして、腸腰筋群は下半身と上半身をつなぎ下半身のコントールの土台となっている感覚があります。
PARTⅣ「勝利」をもたらすもの
第4章は目標設定の方法やピーキング、ゾーンなど、試合に勝つ為に必要なことについての考察です。
その中から勝利条件と戦略についての項を紹介します。
勝利条件は、言い換えれば選手個人の価値観やヴィジョンになる。
自分はどんな競技人生を送りたいか。
何を成し遂げたいのか。
これを言語化したものが勝利条件だ。
私は高校時代に100メートルから400メートルハードルに移ったときに、ノートで両者を比較した。
いろいろと書き連ねたが最終的には、勝ち目が薄いが種目として好きな100メートルか、好きではないが勝ち目がある400メートルハードルか、どちらを選ぶという問いに行き着いた。
それはつまり、好きなことを追求するという勝利条件か、世界でより高いところに行くという勝利条件かの違いだったと思う。
私は後者を選んだ。
まとめると、
・勝利条件…世界でなるべく高いところに行く
・目標…400メートルハードルでメダルをとる
・戦略…世界一のハードル技術とレースマネージメントを手に入れる。
具体的には400メートルと400メートルハードルのタイム差の最小化
この項は為末さんのYouTubeチャンネルで詳しく解説しています。
とても面白い内容なので時間が許す方は是非見ていただきたい。
為末さんは話し方がゆったりなので、時間がない方は再生速度は1.5倍速にすると良いです。
その速度でもしっかりと聴き取れます。
自分にとっての勝利条件を明らかにすることで、自分が取る行動は変わってくるはずです。
ときには何かを得るために何かを諦めて、一方に集中することも必要になるかもしれません。
僕も動画内に出てくる表を実際に書いて、自分が何を本当に達成したいのかを考えてみました。
紙に自分の考えを書いて俯瞰することを繰り返すと、いま何に重点をおいて頑張る必要があるのかが少しずつ見えてきます。
皆さんも気が向いたら是非試してみてください。
「ウイニング・アローン」感想まとめ
今回紹介した「ウイニング・アローン」は為末さんの会心の1冊だと思います。
今まで僕は為末さんの著書はほとんど読了してきました。
この書籍は間違いなく為末さんの著書で1番パワーを感じました。
為末さんの考え方や競技人生から得た経験を素直な言葉で綴っています。
オリンピアンの貴重な経験を学べる素晴らしい内容でした。
これが1,650円は安すぎる…
この書籍はスポーツを真剣に取り組んでいる方、にはおすすめです。
もし、この記事を読んで「ウイニング・アローン」、為末大が気になった方は是非読んでみて下さい。
本記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
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