こんにちはサイト管理人のnyamoです!
いきなりですが強いクライマーには共通点があります。
それは懸垂能力が高いところです。
一見細く見えるプロの女性クライマーも、一般レベルの人と比べると、かなり高い水準で懸垂ができます。
強いクライマーはどれぐらい懸垂できるの?
そんな疑問に答えるために、まずはこちらのインスタグラムの投稿を紹介します。
これはジャパンカップ優勝経験がある山内誠選手のトレーニング動画です。
僕は山内くんの隠れファンなんですけど、いつも彼のインスタグラムの投稿やyoutubeの動画から刺激をもらっています。
いきなりクライミング初級者の方には衝撃的な映像だったと思いますが、この記事では、懸垂のトレーニング効果や方法について、クライミングのレベルを問わずに解説しているので、是非クライミング初級者の方にも読んでいただきたいです。
懸垂は取り組み方しだいで、単なる筋トレとしての効果以外にも、クライミングに直結するトレーニング効果が得られます。
この記事では懸垂の知られざる効果や、その取り組み方法について詳しく解説しているので、即実践可能です!
ではさっそく解説に進みましょう!
懸垂トレーニングの知られざる効果
いきなり本題に入りますが、下記の3つが懸垂によって得られるトレーニング効果です。
懸垂をすることで得られる効果
- 上半身の筋肉がつくことで引く力を強化【クライミングの基礎の力】
- いろんなバリエーションの懸垂をすることで力が入る領域が増える【神経系のトレーニング】
- 反動を使った懸垂をすると、全身を使って引く技術が向上する
ではここから詳しい解説に入っていきますね!
上半身の筋肉がつくことで引く力・を強化
まず一つ目は純粋な筋トレとしての効果です。
懸垂は主に広背筋、上腕二頭筋などの筋肉に大きな負荷がかかります。
これらの筋肉はクライミングで主に使われるので、トレーニングにより筋肉が肥大し、筋力がアップすることで純粋に登攀能力が上がります。
いろんなバリエーションの懸垂をすることで力が入る領域が増える
筋肉は太くする以外にも出力を上げる方法があります。
それは神経系を鍛えることです。
みなさんはある日、初めて触った課題を、数時間かけて完登したことはありますか?
最初は保持できなかったホールドも、課題をトライしているうちに徐々に保持できるようになってきます。
その短時間に保持力が変化したのは、神経系が向上したからです。
筋肉は神経系が発達すると高い出力を発揮できるようになります。
懸垂をやるときも、自分の力が入りにくい手幅や、力の入りずらいホールドであえて取り組むことで、そのとき使った筋肉の神経系が向上し、自分の力が入る領域を増やすことができるのです。
よってクライミングのための懸垂は、いろんな手幅や持ち方のバリエーションを取り入れて行うのが良いと言えます。
反動を使った懸垂をすると、全身を使って引く技術が向上する
想像してみてください。とても遠いホールドを取りに行くとき、ゆっくり腕だけで引いて取りに行くと、次のホールドには手が届かないですよね?
ランジやサイファーといった遠いホールドを取る際に使うムーブは、全身を連動させ、勢いをつけて次のホールドを取りにいきます。
反動をつけた懸垂は、ランジやサイファーで距離を出すときの感覚に似ています。
クライミングは課題の難易度が上がると、ホールド間の距離が自然と遠くなっていくので、全身を連動させホールドを引く技術は、高難度の課題を登るために必須の技術です。
反動をつけた懸垂は、全身を連動させてホールドを引く技術の向上に役立ちます。
詳しいやり方は次の章の懸垂バリエーションで説明しますね!
クライミングのための懸垂バリエーション
懸垂は同じ持ち方、同じ手幅でおこなっていると、その条件のときしか強い出力を発揮できるようになりません。
クライミングは壁に付いているホールドに体勢や、手の向きを合わせて登っていくスポーツです。
いろんな体勢で力を入れられる必要があります。
なので、懸垂はいろんなバリエーションでおこなうことが望ましいです。
手幅を変える懸垂
ホールドを持つときの手幅はクライミング中さまざまです。
狭いときもあれば、横にフルリーチでひらいてるときもあります。
いろんな幅で懸垂をすることで、実際のクライミングで役立つように鍛えることが大切です。
肩幅
ワイド
ナロー
持ち方を変える懸垂
懸垂をするときの持ち方もいろんなバリエーションを取り入れることで、クライミングの実戦に近いトレーニングが可能です。
例えば、現在岩場で落としたい課題があるとします。
その課題に強烈なアンダーが出てくるようなら、その課題を登るためのトレーニングとして、逆手と順手どちらで懸垂をした方が、成果に直結する効果が得られそうだと思いますか?
答えはもちろん逆手です。
これはスポーツ全般に言えることかもしれませんが、トレーニングは何のためにやるのか、根拠を考えて行うことが大切です。
もし現在、自分のクライミングに停滞を感じている方はこちらの記事も読んでみると良いかと思います。
順手
逆手
バット持ち
手を横向きにして懸垂するときは、バーの左右どちらかに頭をつき出すようにして体を引き上げます。
かなり場所を取りますが、クライマーの家庭には懸垂ラックが1台あると重宝します。
ロックオフ
ロックオフは腕を曲げた状態をキープします。
クライミングには、腕を曲げた状態をキープしなければならないシチュエーションがあります。
例をあげると、リードクライミングのクリップや、ハイステップで乗り込んで次のホールドを取りに行くときなどです。
ロックオフのトレーニングをするときは、キープする肘の角度を変えて、3種類のバリエーションを行うことが望ましいです。
なぜ3種類の角度で行う必要があるかというと、90°に肘を曲げた状態のロックオフばかりしていても、90°の前後15°程度まで(75°~105°)の関節角度までにしか力が入るようにならないからです。
トレーニングをするときはいろんな関節角度を網羅する必要があります。
肘の角度90°をキープ
最大まで引きつけた状態をキープ
130°ぐらいをキープ
この記事の冒頭で紹介した山内選手がやっていたトレーニングは、クライミング界では有名なロックオフのトレーニングで、彼の投稿ではABC懸垂といっていましたね。
このトレーニングは15年ほど前に発売されたクライミング教法の中で紹介されているトレーニングで、本来は両手でやるものです。
彼は片手でやっていましたが…ひょえ~
ABC懸垂のやり方はこんな感じです。↓
懸垂→ロックオフ→懸垂→角度を変えてロックオフ→懸垂→角度を変えてロックオフ
自分のできる範囲で良いですが、ABC懸垂をするときのロックオフの秒数は3~5秒ぐらいが一般的です。
ではもう一度山内くんのABC懸垂をどうぞ。
指のかかり具合・ホールドを変える
クライミングでは様々な形状のホールドを持つため、ホールディングの方法を変えて懸垂をすることで実戦に近いトレーニングができます。
鉄棒で懸垂する場合も指をかける量を変えて、第一関節まで、第二関節までというように変化をつけて行うと良いです。
苦手なホールディングで懸垂すると保持力の強化にもなるので、効率的かつ実戦的なトレーニングになります。
ポケット
ピンチ
14㎜
もし自宅にクライミング用のトレーニングボードを設置したいという方は、良かったらこちらの記事も読んでみて下さい。
上の写真で使用しているトレーニングボードは、僕の自宅に自作設置したものです。
賃貸でも壁に穴をあけずに簡単に設置することができます。
反動をつけた懸垂
クライミングで遠いホールドを取りに行くときは、腕だけでホールドを引いてもあまり距離が出ないので、全身の連動をうまく使う技術が必要です。
反動を使った懸垂は、体のしなりを使って勢いをつけ、上体を引き上げます。
その時の全身を連動させる技術が、ランジやデッドポイントなどのムーブで遠いホールドを取りに行くときの技術と共通する点がありまあす。
腕の力だけに頼らず全身の連動でホールドを引くことによって、力の省エネにもつながりますし、腕で引いたときの倍以上の距離を出すことが可能です。
反動をつけた懸垂をすると全身を使ってホールドを引く技術が向上します。
紹介する動画は反動をつけた懸垂を2分間行い、筋持久力のトレーニングをするというものです。
とても上手く全身を使っているので、参考にしてみて下さい。
荷重懸垂
懸垂をするときに重りを付けることで負荷を上げます。
荷重懸垂は、負荷を重りの量でコントロールできるので、自分の筋力に合わせ、徐々にトレーニング強度を上げることができますし、荷重した重さは数字で確認できるので筋力の成長を感じやすいです。
筆者の僕は、荷重懸垂で負荷を上げていった結果、気づいたときは片腕懸垂ができるようになってました。
僕の記憶で片腕懸垂ができるようになったときは、30キロのプレートを付けて日ごろ懸垂トレーニングをしていました。
高重量は負荷が高いので回数はそれほどやりませんが、30キロの荷重で懸垂したあと、20キロ、10キロと負荷を落として追い込みます。
かなり強度の高いトレーニングの話になってしまいましたが、最初荷重する重さは1キロでも2キロでもよいので無理のない範囲から初めて下さい。
急に負荷を上げると肘、肩、腰、などのケガに繋がります。
荷重懸垂をするときの重りの装着方法は、ハーネスに重りを装着するのがおすすめです。肩関節が自由に動くので不快なく懸垂ができます。
重りはプレートよりもケトルベルの方が取り付けやすいですし、ほかのトレーニングにもつかえます。
軽い重りは、足にまくやつが着脱が簡単で気軽です。
懸垂の適切な頻度と回数
みなさんは漸進性(ぜんしんせい)の法則をご存知でしょうか?
簡単に説明すると、強くなるためには少しずつトレーニングの強度を上げていかなければならないということです。
強度の上げ方は、重さ、回数、時間、セット数、何でも構いませんが、少しずつ上げていく必要があります。
人間は同じ強度でトレーニングを続けても、体が強度に慣れてしまい強くならないのです。
適した強度は人それぞれ違いますので、ここでは明確な回数や、荷重する重さなどは書きません。
自分の体力に合わせて少しずつ強度上げてみて下さい。
いきない強度を上げるとケガをしますので少しずつですよ!
懸垂の知られざる効果まとめ
ここまで紹介してきた通り、懸垂は単なる筋トレの効果以外にも神経系の発達や、全身を使った引き方のトレーニングにもなります。
懸垂はなるべく多くのバリエーションで行い、どんな体勢でも力を入れられるようにトレーニングしましょう。
クライミングはホールドの形状や向きに合わせ、自分の体をはめ込んでいくスポーツです。
いろんな手幅や、持ち方で懸垂を行うことで、実戦で力を入れられる領域が増えます。
この記事を皆さんのトレーニングの参考にしていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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