こんにちは。
nyamoです!
「クライミング頑張ってるけど、岩で成果が出ません。」
そんな悩みを持っている方に向け、今回から何編かに分けて岩で成果を出すコツを紹介していきます!
その第一回目のテーマはこちら!
瞬間をつかめ!
少しコアなネタになりますが、REEL ROCK8(DVD&Blu-ray)の映像の中で、ダニエルウッズがハイドランジアV15を完登した際に、レジェンド平山ユージがダニエルにこう言いました。
ダニエルさ〜ん、you catch the moment man!
簡単に訳すと、「ダニエルさん!瞬間をつかみとりましたね!」という感じです。
岩登りは完登できるタイミングにしっかりと完登することが重要です。
今回はこの瞬間をつかむ大切さと、そのテクニックについて説明していきます。
記事の信頼性
記事の内容はすべて筆者であるnyamoが体験して、得たものです。
ぼくは岩登りの経験が豊富で、リード、ボルダーともに国内外でたくさんの岩を登ってきました。
近年はボルダーに専念しており、天候が安定したシーズンに3ヶ月間で合計41段完登したこともあります。
これはその3ヵ月間に登った課題の内訳です。
4段 | 3段 | 2段 | 初段 |
2本 | 1本 | 9本 | 12本 |
今回は、ぼくの岩登りのノウハウの一部を公開します。
クライミング・岩での上達法①瞬間をつかむとは?
岩登りは自然の中で行うので、ジムとは違い様々な環境条件に影響されます。
それに加え、ジムのようにすぐさま気軽に岩場に行くこともできませんし、トライする課題を変えるのにも、移動に時間がかかります。
普通に仕事をしていれば岩場に行けるのは週に1、2回ですし、天候が悪ければ数週間岩場に行けないことも…。
そして岩場に行けても自分の体力がもたなければ、課題をたくさん登ることができません。
以上のことを考慮すると、自分にとって難易度が高い課題をたくさん登るには、少ないチャンスをものにすることが必須条件になります。
岩場でたくさん成果を出すには、様々な条件が整ったときに登り切る力が必要です。
そして岩登りで成果を出すために必要な条件は、大きく分けて2種類あります。
・自然環境の条件
・自分の条件
自然環境の条件
自然環境の条件は自分の力でコントロールすることができませんが、岩登りの経験が長くなると自然の変化を予測できるようになり、条件が良くなった瞬間を感じとって勝負をかけることができます。
自然環境の条件で代表的なものは以下の5つです。
- 天候
- 気温
- 湿度
- 風
- 日差しの当たり方
これからそれぞれを詳しく説明していきます。
天候
天気予報は岩場に登りに行くクライマーなら誰もがチェックしていると思います。
登る当日も、1日の中でも変化がないか常に調べておきましょう。
小川山や瑞牆山など暑い季節に夕立があるエリアは、雨雲レーダーを見ると何分後ぐらいに雨が降るか予測できます。
雲行きが怪しいときや湿っぽい臭いがするときも、雨が降る可能性が高いので、時間にゆとりがあると思わず1便ごとに集中しましょう。
雨が降る前に登り切ればこちらの勝ちです。
また傾斜が強い岩場であれば、雨の日でも登れるエリアがあるので、知っていると岩場での登攀日数を増やせます。(関東だと二子山)
朝早い時間帯に雨に降られた場合は、エリアの大移動もありです。
ぼくは過去に2回、朝一で雨に降られたとき、小川山(長野)から恵那(岐阜)に移動したことがあります。
もちろん移動は大変ですが、岩で成果を出すためにはやってみるのも良いでしょう。
気温
基本的には気温が高いとクライミングに悪影響がでます。
気温の変化はコントロールできませんが、気温の低い時間帯を狙うことは可能です。
ぼく自身も、朝一や日が沈んだ後の気温が低い時間帯に、本命の課題を登った経験がたくさんあります。
日中は気温が高くまったく持てなかったホールドが、日没後いとも簡単に持てるようになり、昼間の苦労は何だったのか…なんてこともありました。
それくらい気温はクライミングに影響します。
他には上裸も暑さ対策に有効な手段です。
ただ気合を入れるために、何となく上裸になるクライマーもいると思いますが、ぼくの場合は、体温を下げて指から出る汗を抑えるテクニックとして上裸になります。
逆に気温が低すぎて体が動かない場合は、多めに防寒着を着込んだり、焼き石をチョークバックの中に入れたり、携帯用のガスヒーターをもっていったりと、寒さ対策をしっかりすることが大切です。
前述した寒さ対策は当たり前のことを言っているようですが、岩場で遭遇するクライマーはけっこうできていない人が多いと感じます。
上はダウンを着ているのに下は長ズボン一枚で、そのうえガスヒーターも持っていなければ寒いのは当たり前です。
寒さに震えているようでは、当然良い成果が出るわけはありません。
冬場のクライミングは、せめてオーバーパンツを持っていくようにしましょう。
湿度
湿度の高さがクライミングに大敵であることは、だれでも承知していると思います。
当然湿度が高い日は登るための条件が悪いです。
ここで気を付けておきたいのは、湿度が低い日も、湿度が高くなる時間帯があるということです。
基本的には朝と夕方は湿度が高く、岩がしっとりします。
朝は岩がしっとりしていても、日が昇るにつれて岩が乾くので問題ないことが多いです。
岩が乾いたら、気温が上がって岩が温まる前が本気トライのチャンスタイムなので、それまでにしっかりアップを済ませておきましょう。
夕方の湿気はかなりやっかいで、日中気温が高く岩が温まっていると、日が落ちて急に気温が下がったときに岩が結露することがあります。
ひどい日は本当にびっちゃびちゃになることもあります。
これは日中ふつうに登れていたのに、夕方なぜか岩がしけりだし、最終的に水滴が落ちるぐらい濡れてしまった岩の写真です。ひどすぎる…泣
これは僕が出会った中でも極端な例ですが、長くクライミングをしているとこのようなことも稀におきます。
夕方の湿気と言えば、昔にレジェンド平山ユージさんと岩場で遭遇して話していた時に、ユージさんが
君は夜もけっこう登るの?僕は夕方になると空気がしっとりしてきて、もう今日は終わりだな~って思うんだよね~
と言っていたことを、この記事の執筆中に思い出しました。
夕方の湿気は気温が低い冬場は気になりにくいですが、陽気な春の季節は要注意です。
風
気温が高い日は、風が吹いたタイミングも完登のチャンスです。
不思議なもので、風が吹いて暑さの感覚が緩まると、手から出る汗の量が少なくなります。
ぼくも、風が吹いた短い時間を完璧にとらえて登った思い出の課題があります。
それは九州の比叡にあるBAD FATHER(2段+)という有名な課題で、この課題を触った日、たしか気温が25°くらいありました。
苦労しながら2時間ほどかけてムーブを作り、今日は暑くてヌメるしどうしたものか…と思っていたら急に強めの風がフゴーと吹き始めたのです。
これはチャンスと思い、ぼくはTシャツを脱ぎ捨て、数分ほど体を冷まし課題に取り付きました。
そして体を冷やしたことで、手汗を大幅に抑えることができ、完登することができたのです。
この課題を登った時は、まさにcatch the moment!でした。
日差しの当たり方
例をあげると、城ケ崎のシーサイドのような冬でも季節を無視したような暑さのエリアは、岩に陽が当たってない時間帯が完登チャンスです。
その反対に冬の二子山のような極寒のエリアは、岩に陽が当たっている時間帯の方が、手の冷えを抑えられて完登できる可能性が高まります。
夏にボルダリングをするときは、岩が日陰になっている時間帯を狙って、課題を回ります。
冬にボルダリングをするときは、朝一のアップはポカポカの日当たりの良い岩で行うことが多いです。
自分の条件
自然環境の条件を予測してベストなタイミングで課題にのぞむことも重要ですが、そのタイミングに自分の準備が整っていなければ、課題を完登することはできません。
この章では自分の条件の中でも、体力のコントロールと、集中力の高め方について説明していきます。
体力のコントロール
岩で成果をたくさん出したい場合は、無駄な体力の消耗を抑えることを考えなければなりません。
楽しくなると、つい課題を短い間隔でトライしがちになります。
無駄なトライはクライミング上級者でもやりがちです。
体力だけでなく、指の皮も消耗します。
しっかり休憩をはさむことを心がけましょう。
ぼくは10年の経験の中で、課題の本気トライをする前、自分の疲れと課題の強度、手数などを考えて、そのとき何分休めば完登できるか分かるようになりました。
これは岩でのクライミング経験から得られるものなので、年間の岩場に行く日数を増やす努力が必要です。
休む時間は状況によりケースバイケースですが、難しいルートや、手数が長いボルダーの完登トライ前には、2時間休むこともあります。
今トライしても完登できないと思えば、完登できると思えるタイミングがくるまで待つ冷静さが必要です。
その反対に、自分にとって課題がやさしいと感じ、手数も少なく、登り切れる自信があるときは、5分と休まずにトライすることもあります。
集中力を高める方法
集中力を高める方法はイメージトレーニングがおすすめです。
ぼくの場合は、集中力を高めるとき、これからトライする課題を頭の中でイメージして、スタートからトップアウトまで登り切ります。
少し専門的な話になりますが、頭の中で体を動かすイメ―ジをすると、そのとき脳は実際に体を動かしたときと同じ働きをします。
これはスポーツ科学の実験で、競技レベルが高い人ほど、より鮮明なイメージができることが分かっています。(大学の授業で習いました)
イメージが鮮明になればなるほど、注意しなければならないポイントが明らかになりますし、完登率がぐっと高くなるので、ぜひ試してみて下さい。
瞬間をつかめ!まとめ
今回紹介してきた、岩登りで瞬間をつかむコツは、ぼくの経験から得た岩登りのノウハウです。
この記事を読んで、いろいろな条件を事前に頭にいれておくと、きっと役に立つでしょう。
ぼくはジムでは到底かなわないような強いクライマーと、岩場で同じ課題をトライするとき、先に完登したり、ムーブが進んだりすることが度々あります。
これはおそらくインドアにはない、様々なコツが岩登りにはあるからだと思います。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。
また「岩登りのコツ②」の執筆を予定していますので、この記事が参考になった方はそちらもよろしくお願いします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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